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2人のピアノレッスン
- author: YOKO
- 2018.05.23 Wednesday
J子さんとお孫さんのKちゃんのピアノのレッスンが始まったのが2017年の9月の事でした。
2人の年齢差60年。
Kちゃんも5歳になり(2歳の時には舞浜に合気道にも来てました!)その年齢差を感じさせない関係になりつつあります。(笑)
忙しくて(?)なかなか練習のできないJ子さん。
Kちゃんの一言、「やろうと思えばできるでしょ。」
渡した楽譜をなくしたJ子さん。
私、「探せば見つかると思うけど。」
Kちゃん、「ものすごく散らかってるから。」
ぐ、ぐ、ぐ。
最初は自分のレッスンが終わってJ子さんのレッスンになると退屈して話しかけたり動き回ったりしていましたが、私の「先に一人でおうちに帰ってる?」の言葉以来、おとなしく待てるようになりました。
Kちゃんはいろんな質問を投げかけて来ます。
「先生の髪の毛はなんでキラキラしてる所があるの?」
「それはね、白髪を染めてるからよ。」
「先生の目はなんで黒目のまわりが青いの?」
「それはね、白内障のせいよ。」
こんな会話をしているとなんだかお見舞いに来てくれた赤頭巾ちゃんにベッドの中から答えている狼になったような気分になります。
昨日のレッスンもJ子さんのレッスンの間、いい子で待ってる、、と思ったら眠ってました。
子供は天使です。
どんな夢みてるのかな。
調律師、という仕事。
- author: YOKO
- 2017.10.21 Saturday
先日、ピアノを弾いていて久しぶりにピアノ線が「パキン!」
といって切れてしまいました。
で、今日はちょっと自慢話。
「私の指もまだまだ捨てたもんじゃない。」と思いました。
(金属疲労ということもあるしね。)
ピアノ線は1本1本が約80キロの力で引っ張られています。そのピアノ線が一つの音に3本。高音域になるほど、当然ピアノ線は細くなり、短くなりますから、高音のピアノ線は切れやすくなります。
いつもの調律師のSさんに電話をして、その日はSさんではない方が雨の中を来て、切れたピアノ線を張り替えてくれました。
作業が終わってから、お話を伺いました。
「久しぶりにこのピアノを触って懐かしかったです。」とK さん。
うちのスタインウエイは1930年製の古いグランドピアノです。蓋をあけると中に、ケンプとアシュケナージという二人のピアノの巨匠のサインがある特別なピアノです。そのサインを見て懐かしかった、のかな?と思ったら、それだけではなかったのです。
「音がまろやかに木枠と共に鳴るんですよね。」とKさん。
ここから俄然、話に熱が入りました。
「新しいホールに入れられた新しいグランドピアノが良く鳴るようになるには使用頻度にもよりますが2、3年かそれ以上かかります。しかし、その新しいピアノが10年経過したら、このピアノのように良く鳴るか、と言ったらそうではないんですね。このピアノのように鳴るようにはならないでしょう。」とKさん。
「そんなにこれはいいピアノなのですか!」と私。
(da capo、ということはケンプが1961年にこのピアノを弾いて、
1976年にまた帰って来た、ということなんでしょう。)
1930年という一番、スタインウエイがいい職人でいい木を使用して製造していた時のピアノ、とは知っていましたが、そんなにあちこちで違うピアノを弾くわけでもない私にはその素晴らしさはよくわかってないのかもしれません。
何とモッタイナイ!
ヴァイオリンは使用する木が命とはよく聞きますが、ピアノも考えてみれば木の箱に入った楽器です。その木、そして塗装、そんな事までが音に影響してくるのだそうです。
ピアノ調律師の戦場、といえばショパンコンクールです。
その話になると、「私の個人的に思うショパンの音と演奏とは全く異なる世界なんです。」とKさん。
それは私も同感です。
「とにかく、明るく華やかに、そしてクリアに鳴る楽器、調律が求められる。演奏もしかりです。コンクールで優勝するショパンの世界みたいなものがありますね。」とKさん。
(そんな風潮にして来た審査員の責任も大きいと思うけど。)
(何事もパッと見栄えがするものと本物とは違うと思うけど。)
今の時代、画像も音質もデジタル化されて、
それはそれは鮮明になりました。
それに慣れてしまった視覚や聴覚には、それ以下の鮮明度のものには物足りなさを感じてしまいます。
濃い味に慣れたら、だしの効いた薄味はもの足りなく感じるのと同じです。
ではその鮮明な色彩が自然界の色なのか、
と言ったら、そうではない。
デジタル化された音楽をヘッドフォンやイヤフォンで聴く、
その音質が最高の音質なのか、
と言ったら、そうではないのです。
Kさんという人が調律師という仕事を職業として人生を歩んで来られた事に何か感動を覚えた一日でした。
ヴァイオリンの名器なら持って出かけられますが、ピアノはそういうわけには行きません。ミケランジェリというピアニストは世界中、自分のピアノを運んでコンサートをしたそうで、しかも時には自分のピアノを置いてホールの音響が気に入らないとコンサートをキャンセルしたそうですが、そんなわけにも行きません。(プロならどんなピアノでも弾け!とも言いたいけれど。)それも無茶な話です。
(今、話題のマルタ島には船で行って、帰って来ましたが....。)
せいぜいここに来る生徒さんたちと楽しむくらいしかできないけれど、
この名器が私の所にあるのは調律師Sさんと父のおかげです。
Sさんとは、かれこれ40年のお付き合いになります。
The Sound of Silence.
- author: YOKO
- 2016.06.06 Monday
彼女は高校生までピアノを習ってソナチネ、ソナタ、ショパンまで行ったのですから、ピアノ教室では「上級クラス」まで進んだという事になります。
高校生でピアノを辞めて、その後は大学、就職、結婚。そして2人の息子さんを育て上げ、ご主人を看取り、息子さんたちも結婚されてそれぞれにお孫さんにも恵まれました。
そこまで人生を生きてきた所で、
「さて、これからの私の人生でなにが一番やりたい事なんだろう。」と考えた時に、「ピアノ」が浮かび上がったと話してくれました。
「子供の時についていたピアノの先生には間違えると叱られました。」と彼女。
バッハとモーツアルト等を弾いてもらいました。
「確かに、間違えないように!と言う弾き方ですね。」
と言うと大笑い。
そこで私がお話した事はこんな事でした。
もう、間違えないように、を最優先に練習するのは終わりにしよう。合格の丸をもらう事、発表会やコンクールの為に練習するのも終わり。
これからはピアノを楽しんで弾こう。
たとえば、音楽の歴史を学んで、この曲が音楽史上どの辺りに位置しているのか。
この作曲家の人生はどんなものだったのか。
そして譜面を読んで行く事で、作曲家が言いたかった事を見つけよう。
主旋律に隠された副旋律。
低音の進行。和音の構成。楽曲の構成。
作曲家からのサインやいたずら、落とし穴。
たった一つの音で世界が変わる瞬間。
曲の中にあるたくさんの、「そして」とか「しかし」とか「さらに」とか「要するに」とか「でもやっぱり」とか「それでどうする」とか「思ってもみなかった事に」とかを見つけよう。
速く、正確に弾く事を目標にしないで、
曲にこめられたメッセージの伝導者になるつもりで
曲に向き合ってみよう。
そして、力を入れっぱなしにして弾くのではなく、
緩急をつけて脱力する事も学んで。
(実はこれが一番難しく、一番重要なのですが)
更には音のない瞬間も音楽が奏でられるように。

(写真は「レントより遅く」の楽譜。どんだけ遅いかって?)
彼女がどんな性格で、これまでどんな風にがんばって生きて来たかも、すごく良くわかって、2人で大笑いしました。
また一人、楽しい生徒さんが増えました。
ご縁を繋げてくれた友人に感謝です。
一期一会とは言うけれど...
- author: YOKO
- 2016.01.15 Friday





音楽と合気道
- author: YOKO
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- 2015.06.15 Monday


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